3.13.2016

「わたしがダムを壊しました!」熊本番外編 13日目

熊本県 球磨川(くまがわ) 
曇りのち雨 水温8℃ 透明度3m

つる詳子さん
今日はとんでもないおばあちゃんと会った。
この旅では海を巡るのと同時に、各地の人物と会うことも目的の一つ。
本や映像などで得る知識と、実際に本人に会って感じるものでは同じ内容でも
全く違った影響を受けるものだと思う。
今日は旅で初めての海なし日。

今日は球磨川の下流から上流までを見て回る。
つるさんが要所要所でダムの影響による川の生き物への影響を教えてくれた。
そしてある場所の前で僕はいう。
「ここにあったダムって、、、」
つるさんは僕の言葉をさえぎってニコニコと言い放った。
「私がダムを壊しました!」

うわっかっこいい。
この方は20年の活動で日本で初めてダムを撤去まで導いた人。
海と違って、川は狭い。
堰き止められると上流と下流で生き物たちの行き来はなくなり、
多様性は著しく減ってしまう。
堰き止められた川は美しさと活力を失い、
夏にはアオコが発生して悪臭を放っていたという。
球磨川のダム撤去に関する記事2つ

記事にも書いてあるけど、これからは自然を元に戻すための公共事業を
広めていく必要があると思う
ダムができる60年以上前には一級河川である大きな球磨川の下流域でさえも
蛍が飛び交っていたという。地元の人々は様々な形で川を利用し、川と共に生きていた。
そんなような話を詳細に話してくれた。
必要があったから作られたダムのはずだけど、
年月とともに利益よりも損失の方が大きくなっていった。
昔は熊本県の30%の発電を賄っていたけれど、撤去前では0.7%くらいだったという。
魚は60種いたものが、現在では20種。
ダムが川の生態系に与える影響は果てしなく大きい。
実際にダムのあった場所、川の下流、中流、上流と見て回りながら話を聞くことで
生き物たちの脆さを間近に感じることができた。
海はあまりにも広く多様で、とても川まで手を付けることはできない。
それでも今日ここに来たのは、つるさんのエネルギーを間近で感じることと、
海の自然を考えるうえで大切なことだと思ったからだれき。


撤去されたダムの跡。

川の中流域では水生昆虫の調査を見させてもらった。
それと少しだけ潜ってみた。

ニゴイ

顔のとがったボラのような魚だった。
はじめての出会いにちょっと興奮!
コイらしきものもいたけど、野生のはこんなにワイルドなのかと驚く。


川の上流は屋久島にそっくりの清流!
もともと球磨川は一級河川において日本一のきれいさだと言われている。
ダムができる前はそれはそれは綺麗だったとか。
一つのダムは撤去できたけど、まだ上流には大きなダムがある。
一つでもあればその影響は計り知れない。
しかしつるさんの一歩はこれからの環境問題を考えるうえで
非常に意味のある歴史的な一歩だと思った。
僕のおやじはダムを作る側の人間で、環境保護団体と戦っていたというのは因果な話。
幼少期だったけど、その苦労もなんとなくわかった。
人間が快適に暮らすために必要ならば仕方がないことでもあったのだろう。
しかしこれからの時代は違う。
この便利すぎる世の中で必要なのは、
多少の不便さを受け入れる心ではないだろうか。
自然の豊かさが保たれていてこそ、人も豊かになれるのではないだろうか。
少なくとも、僕は日本の海の綺麗さや豊かさを広く知ってもらいたいと思っている。
それこそが、海を守っていくために最も大切なことだとも思っている。


72歳にして、エネルギーがあふれ出すつるさん。
僕や中野さんよりも常に元気だった。
海には潜れなかったけど、海への思いが一層強くなった一日だった。

つるさんとしょうかくさん
果物はなんだっけ。。。
サンパールじゃなくてサボンじゃなくて。。。
まぁこの辺の特産の一つってことで頂いた。

さて明日からは天草を全力でめぐろう!
今日は道の駅のフリーwifiを使用。
要所要所で使えるんだ。便利な世の中だ。

ではでは。

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