2.26.2016

100分の1



アカモンガニの放仔  屋久島・一湊
NIKON D610  Kikkor 105mm F/2.8
NexusD610 Inon s-2000 Fisheye-FIXneo2500DX
ss1/250  f11 iso560

赤紙をもらった兵隊の気持ちが1%くらい分かったような気がする。
家族と離れ離れになるのがさびしい。
たまには感傷的な気分にもなる。

でもタイトルの「100分の1」は気分ではなく、ライトの光量のこと。
今回は写真集「豊饒の海」よりの一コマ。
生態シーンをしっかりと記録に収める事は大きなテーマのひとつ。
経験や感も大事だけど、それはまたそのうち。
この時は器材に大いに助けられた。
フィッシュアイ社から出ているFIXneo(2500DX)は大光量が売りの一つで、
僕は動画撮影用に2つ入手した。
大抵はフォーカスライトに使用。
安定した光で、残量も1分単位で分かるのが嬉しい。
でも個人的に一番嬉しいのは、光量調整が1%単位でできること。
これは生態派のダイバーにはたまらない。



写真のアカモンガニは夜しか見かける事はないけど、
夜でさえ滅多に見かけない。かなり警戒心の強いカニだと思う。
この時は海底をガシガシと歩いている姿を発見。
珍しいなと思いライトを当てて確認すると抱卵していた。
しかも雰囲気がある。これはハッチアウトをするに違いない。
そう確信できた。
刺激を与えてはまずいと思い、ライトの光量を下げ、
ストロボとカメラの絞りも調整していると、岩陰に逃げ込んでいった。。。
遅かった。強烈なライトにすっかり嫌気がさした様子。
ゴメンゴメン。
まぁこういった時は、待つのみ。
警戒心が相手の警戒心が緩むのをひたすら待つだけ。
光の量を5%くらいまで落としてジッと待つ。20分くらいたっただろうか。
しかし一切動かない。。。
闇の中でも眼が慣れてくると5%の明かりも眩く感じられてくる。
フォーカスをあわせるのにはできればこれ位欲しい所。
しかし肝心のハッチアウトが見れないのであれば、どうしようもない。
そこで光量を1%まで落とした。
闇に眼が慣れていると、それなりに見えるもの。
フォーカスは全神経を網膜に集中すれば7割くらいわかる。
あとは感だ。
5分くらいするとカニがモジモジし始めた。
やはり光がストレスになっていたのだろう。
いよいよハッチアウトか?といった頃に1枚写真を撮ってみた。
露出はバッチリ。
しかし、カニはまた岩の奥に逃げ帰ってしまった。。。

結局1時間ほど粘った頃にようやくハッチアウトが始まった。
折りたたまれた足がウィーンと伸びた瞬間に興奮は最高潮。
待ってて良かった。
こういったシーンは待った時間に比例して感動の値も大きくなるように思う。

薄闇でアカモンガニと対峙した時間が懐かしい。
その時に、闇の中では甲羅の模様が化け猫のように見えることを発見。
岩陰からずっと化け猫に睨まれているようで、薄気味悪かった。。。
これも眼状斑なのだろう。

100分の1の光量。
今では僕にとっては欠かすことのできない繊細で心強い機能だ。
そして最近では車内で5%くらいの光の量で使用している。
これもかなり便利!表示時間は999(分)と出るからまた凄い。
これも大事なたびのお供だ。

旅に向けて新しいライトも入手したのでまたそのうち、ライトについて書こう。



こちらは自作の新兵器「タケルさん」を使用。
兵器と呼ぶにはあまりにもおちゃめ。
こちらもそのうち紹介しようかな。

旅まであと4日。

【 屋久島水中・自然写真 高久至写真事務所 】

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